【医師監修】口臭の原因・ケア・治療法!効果的な口臭対策とは?

口臭には実にさまざまな原因があり、歯を丁寧に磨いたりマウスウォッシュをしたりしても除去しきれない類のニオイもあります。口臭を予防・ケアするには原因から知ることが大切。ここでは、口臭の種類や原因、対策について詳しく解説します。

2018年12月14日更新

お口のケア/口臭対策

國枝正人 先生 (歯科医)

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[1]自分の口臭、チェックしていますか?

口臭が気になると、友人や同僚と話すときも気になって心からおしゃべりを楽しめなくなってしまいます。周囲の人と円滑なコミュニケーションを図るためにも、口臭はしっかりケアしておきたいところです。

とはいえ、なかなか自分自身で口のニオイに気づくのは難しいもの。まずは、口臭チェックから始めてみましょう。
自分が話をするとき、なんとなく相手がソワソワしている…そんなときは、口臭が臭っているのかもしれません。

自分の口臭はなかなか気づかない

会話している相手からものすごい口臭が漂っているのに、相手はまったく平気な顔をしている、ということがあります。自分自身の口臭は意外と気づきにくく、知らないうちに口臭で周囲を不快にしているケースも少なくありません。

これは、鼻の「順応」によるものと考えられます。順応とは、いわゆる「慣れ」のことで、ニオイをしばらく嗅いでいるとそのニオイに慣れてしまうのです。

自分の口臭を毎日嗅いでいることで鼻が順応してしまい、周囲は口臭に気づいているのに自分だけはまったく気づかない、という状況になってしまうのです。

口臭を確かめるには?口臭チェックのやり方

自分の口のニオイが気になっても、他人に口のニオイを嗅いでもらって臭いか確かめるのはなかなかできないものです。口臭が気になる方は、以下の方法でセルフチェックしてみましょう。

■歯垢のニオイをチェックする

新品の歯間ブラシや糸ようじを用意し、歯の間に詰まった歯垢をとってそのニオイを嗅いでみましょう。歯垢は口臭の原因にもなるので、歯垢のニオイを嗅ぐことで自分の口臭の程度がおおよそわかります。

■簡易口臭チェッカーを利用する

タニタなどのメーカーで販売をしております。精密な診断になりませんが、目安になります。機械を使用の際には、直前にうがいなどをお忘れなく。

≪商品例≫


[2]原因別に見る口臭の種類

口臭にはさまざまな原因があり、原因によっていくつかの種類に分類できます。自分の口臭の原因や種類を知ることで適切な対策がとれます。

生理的口臭

生理的口臭とは、朝起きた直後の口臭や緊張したときの口臭、お腹が空いているときの口臭などを指します。生理的口臭は病気などが原因でなく誰でも起こるものです。

朝起きた直後や緊張しているときなどは唾液の分泌量が少なくなるため、細菌が増殖して口臭のもととなる揮発性硫黄化合物が大量につくられます。そのため、どうしても口からニオイが出てしまうのです。

ただ、生理的口臭はニオイの強さはそれほど強くなく、極端に顔を近づけたときにニオイを感じる程度です。

生理的口臭は病気が原因ではないため、歯磨きで細菌や揮発性硫黄化合物を減らしたり、食べ物を食べ良く噛むなどして、唾液の量が増えればすぐにニオイは弱くなります。治療の必要もありません。

食べ物や嗜好品による口臭

ニンニクやネギなどニオイが強いものを食べると、口から吐く息が臭くなることがあります。「アリシン」という成分がニオイのもととなり、強烈なニオイを発生させることがあります。また、お酒を飲んだり、タバコを吸ったりしたときには大きな原因となります。
人と会う直前などは食べ物、嗜好品には注意した方がよいでしょう。

病気による口臭

病気によって引き起こされる口臭を病的口臭と言います。病的口臭の90%以上は口の中のなんらかの異常が原因となっています。例えば、歯周病やむし歯、歯垢、舌苔(ぜったい)などがその原因に当てはまります。

特に歯周病は、口臭の原因の代表とも言えるもの。40代以上の日本人のおよそ80%以上は歯周病を患っているとも言われているほど誰でも起こりうる病気なので注意が必要です。口に関わる病気以外のものだと、糖尿病や肝臓の病気、胃腸の病気、呼吸器系の病気なども口臭の原因となることがあります。

病的口臭の場合は歯磨きなどの一時的なケアでは解決できないため、原因となる病気を突き止めて適切な治療を受けることが大切です。

ストレスによる口臭

緊張したりストレスを感じたりすると、口の中がネバつくことがあります。これは、緊張やストレスを感じると唾液の分泌量が少なくなるためです。

唾液を分泌する唾液腺は自律神経と大いに関係があり、ストレスなどで交感神経が強く働くことで唾液の分泌が抑制されるのです。唾液の分泌量が減って口の中が乾燥すると口臭が出やすくなります。

[3]口臭の原因になる代表的な病気・トラブル

口臭の分類のひとつである「病的口臭」。なんらかの病気やトラブルが原因となる口臭を指しますが、具体的にどのような病気があるのでしょうか。代表的なものを以下で紹介します。

歯周病

歯周病とは、簡単に言うと、歯茎や歯を支える骨が壊される病気のこと。歯そのものが壊されるむし歯とは違い、歯を支える組織が壊されていき、最後には歯が抜け落ちてしまいます。歯周病の原因となるのは細菌感染で、歯と歯肉の間に汚れが溜まっているとそこにたくさんの細菌が停滞して歯肉周りに炎症が起きます。それと同時に、繁殖した細菌が代謝の過程で発生させる硫化水素やメチルメルカプタンのガスにより口臭も発生します。

歯周病が軽度であれば、歯磨きを丁寧に行い、歯垢を取り除くことで口臭をある程度緩和できますが、歯と歯肉の間の溝が深くなっている場合はセルフケアだけでは改善が難しくなります。定期的に歯科に通い、歯垢や歯石を取ってもらう治療が必要になります。

歯周病は40歳以上の日本人の80%以上がかかっているともいわれるほど起こりやすい病気なので、予防もしっかり行いましょう。歯磨きを毎日丁寧にすることも大切ですが、歯周病を引き起こす要因として喫煙や食習慣、運動不足などの生活習慣も挙げられているので、毎日の生活を見直すことも重要となります。

むし歯

むし歯は、食べ物を食べたり飲んだりした際にとった糖分がエサとなってつくり出された酸により、歯が溶けてしまった状態。歯が溶けて歯に穴が空くと、そこに食べカスや歯垢が詰まってニオイが発生します。小さいむし歯で口臭が発生することはありませんが、むし歯が進行するとニオイが出てきます。

むし歯ができてしまってからでは、歯磨きだけでのむし歯改善はできません。歯科を受診し、歯の状態を診てもらって適切な治療を施してもらいましょう。
むし歯の治療としては、むし歯の部分を削りとったり、削った部分に被せ物をしたりしますが、場合によっては治療で施された被せ物の下に細菌が溜まってニオイが発生することもあります。治療後にも口臭が気になるようであれば再度受診して相談してみましょう。

舌苔

舌を出してよく見てみると、舌の表面に白や黄色の苔状のものが付着していることがあります。これがいわゆる「舌苔(ぜったい)」と呼ばれるもの。舌苔は、口の中の細菌やそれらが生み出す代謝物、食べカス、舌の細胞などからできているもので、口臭の原因となります。

舌苔は健康な状態でも付くものですが、体調不良などで免疫力が低下していたり、ストレスが溜まっていたり、口の中の衛生状態が悪かったりしたときは特に付きやすくなります。健康な状態で付く場合はうっすらとした白い舌苔で、口臭にはほとんど影響しませんが、上記の理由などで分厚く付いてしまったり黄色い舌苔がついたりしたときは口臭に影響します。

健康な状態での舌苔に対しては特に治療は必要ありません。舌苔が厚くなり口臭が気になるときは、生活習慣を見直してみましょう。口の中が乾くことでもできやすいので口呼吸に気をつけ、唾液の量を増やすことも大切です。このような対策を行っても舌苔が過剰に付く場合はなんらかの異常の可能性もあるため、一度歯科や口腔外科で相談してみましょう。稀に抗生物質などの副作用で付着することも有ります。

膿栓(のうせん)

膿栓は「ニオイ玉」とも呼ばれるもので、のどの奥の扁桃腺部分でつくられます。扁桃腺にはたくさんの小さな穴が空いていて、そこにウイルスや食べカスが溜まっていきます。これが固まったものが膿栓で、咳をしたときに喉から飛び出し、潰すと悪臭を放ちます。

膿栓は病気ではなく誰にでもできるものなので基本的に治療は必要ありません。ただ、あまりにも口臭が続く、喉の奥に違和感がある、といった場合は耳鼻咽喉科で相談してみてもよいでしょう。自分で膿栓を除去するのは扁桃腺などを傷つける可能性があるためおすすめできません。もしセルフケアを行うならば、歯磨きやうがいがよいでしょう。

便秘

女性に多い悩みのひとつに便秘があります。便秘は、お腹の張りや肌トラブルなどの原因にもなりますが、実は口臭にも影響します。

何日も便が出ず、便が腸の中に留まると、腸の中で悪玉菌が増殖します。すると滞留した便の腐敗が進み、有害物質が発生します。この有害物質が放つガスが腸管から上に昇り、肺に達すると、呼吸と一緒に不快なニオイが口から放たれます。便秘による口臭は強烈で、便のようなニオイともいわれます。

便秘による口臭を予防・改善するには何よりも便秘そのものの対策が重要。運動不足や食生活の偏りに気をつけ、食物繊維を積極的にとるようにしましょう。

その他の病気・トラブル

■糖尿病

糖尿病では、糖をエネルギーに変えるインスリンという物質が不足します。そのため、脂肪やタンパク質からエネルギーを作り出すことになるのですが、その脂肪やタンパク質の分解の過程でケトン体という物質が発生します。ケトン体に含まれるアセトンがニオイのもととなり、口や体からアセトン特有の甘酸っぱいニオイがすることがあります。

■胃の機能低下


暴飲暴食などで胃の機能が低下すると、胃で食べ物がスムーズに消化できなくなります。すると、消化されずに残った食べ物が発酵された状態になりニオイが発生します。そのニオイが胃から食道をのぼっていき、口から口臭として放たれます。

■肝機能の低下

肝臓には、食べ物が消化される過程で発生したアンモニアを尿として体の外に排出する働きがあります。肝臓病などで肝機能が低下すると、発生したアンモニアをきちんと処理できず、アンモニア臭が発生します。このアンモニア臭が肺にも運ばれ、口からアンモニア臭がするようになります。

■トリメチルアミン尿症

トリメチルアミン尿症は「魚臭症」とも呼ばれ、体臭や口臭が生臭くなることがあるのが特徴です。トリメチルアミンとはタンパク質の変化により生まれる物質で、生臭いニオイの原因となるニオイ物質でもあります。通常、トリメチルアミンは肝臓で分解されます。ところが、トリメチルアミン尿症では、トリメチルアミンを分解する酵素の分泌異常などによってトリメチルアミンがうまく分解されず体内に留まり、ニオイが発生します。

[4]口臭改善のための対策法

気になる口臭を改善するにはどのような方法があるのでしょうか。今からでもできる対策法を紹介します。

唾液の分泌量を増やす

唾液には、歯や粘膜の汚れを落として口の中を清潔に保つ役割があります。唾液の量が減って口の中が乾燥しているとニオイも発生しやすくなります。緊張やストレスなど精神的な要因で唾液の量が一時的に減ることがあるので、そんなときは唾液の分泌量を増やすことが口臭予防のポイントになります。唾液の分泌量を増やす方法の一例を紹介します。

■リラックスする

人は緊張すると交感神経が活発になるのですが、それにより唾液の分泌量が少なくなることがあります。リラックスして副交感神経が優位になると、サラサラした水分量の多い唾液が分泌されるため、口の中がうるおいます。緊張やストレスを感じているな、と思った
ときは、ゆっくり深呼吸をする、好きな音楽を聴く、などしてリラックスしましょう。

■ガムを噛む

よく噛むことで唾液の分泌量が増加します。食事をする際はできるだけよく噛むことを心がけましょう。外出先などで口の中が乾いていると感じたらガムを噛むのも効果的です。

■唾液を分泌させるエクササイズをする

唾液の分泌の一部は舌の動きと連動しています。そのため、舌をよく動かすことで唾液の分泌を促すことができます。舌を動かすのにおすすめなのが舌のエクササイズ。
まず、口を軽く開いた状態にします。次に、「ら」と発音するときの舌の形をつくります。

このとき、舌の先は口の裏の天井部分に軽く触れるようにします。そのまま、「ら・ら・ら・ら…」と舌を動かします。このエクササイズによって、唾液の分泌が促進され、唾液量が増加します。

歯磨きのやり方を見直す

口臭の原因となる歯周病やむし歯は、歯磨きがきちんとできていないことで発生します。毎日の歯磨きがきちんとできていなければ、一時的に口臭を改善したとしても、しばらくすればまた同じ状態になりかねません。ここで、正しい歯磨きの方法や歯を磨く際のポイントをおさらいしましょう。

■正しい歯磨きのやり方

まず、歯ブラシを握るときは軽い力で鉛筆を持つ要領で握ります。歯を磨くときは、歯だけでなく歯と歯茎の間を磨くことを意識しましょう。歯ブラシは斜め45度にかたむけ、細かく動かしていきます。強い力で磨くと歯を傷つけてしまうのでやさしくブラッシングしましょう。

■歯間ブラシやデンタルフロスを利用する

ニオイのもとになりやすい歯垢は歯磨きだけではなかなかとりきれません。歯間ブラシやデンタルフロスを利用するのがおすすめです。歯間ブラシやデンタルフロスを歯と歯の間に挿入し、前後にゆっくりスライドさせてすき間に詰まった歯垢をとっていきます。

歯間ブラシにはさまざまなサイズがあり、サイズが合ってないものだとかえって歯と歯のすき間を拡げてしまうこともあるので、歯間ブラシを使用する際は、歯と歯の間に入れたときに無理なく動かせるサイズのものを選んでください。

口臭予防に役立つ食べ物・飲み物をとる

食べ物には口臭の原因になりえるものもあれば口臭予防に役立つものもあります。どのような食べ物、飲み物が口臭予防に役立つのでしょうか。以下で紹介します。

■ポリフェノールを含んだ食品

ポリフェノールとは、緑茶などに含まれる苦みや渋みの成分。
強い抗酸化作用があり、むし歯の予防や糖尿病予防など口臭予防につながる効果が期待できます。

■柑橘類

ミカンやグレープフルーツなどの柑橘類は唾液の分泌を促す作用があります。また、胃炎予防にも効果が期待でき、胃の機能低下による口臭の予防にもつながります。

サプリメントを利用する

口臭対策に役立つサプリメントが販売されています。これらは、口臭の原因となる細菌やニオイ成分を抑える効果はありませんが、サプリメントに配合された香り成分による消臭効果が期待できます。そのほか、新陳代謝をよくするなど体の一部の機能を高めることで結果口臭予防に期待できるというものもあります。

原因となる病気の治療

歯周病や胃腸の病気、肝臓の病気など口臭の原因としてあきらかな病気がわかっている場合はその病気を治療することが何よりの対策となります。歯磨きの見直しや生活改善などを行っても強い口臭が続く場合は、なんらかの病気の可能性もあります。

[5]口臭治療を行う口臭外来とは?

口臭治療を専門とする口臭外来。どのような検査・治療が行われるのでしょうか。

口臭外来とは

口臭治療を専門で行う機関で、口臭外来単独のクリニックもあれば総合病院や歯科医院に入っていることもあります。専門の治療器具が揃えてあり、より効果的な治療を受けることができます。

口臭外来での検査・治療の流れ

クリニックにより多少異なりますが、初めて口臭外来を受ける際の流れは以下のようになります。

(1)問診

最初に問診票や生活調査票などの必要書類に記入し、問診を受けます。問診時に口臭の具体的な悩みを医師に相談できます。患者のプライバシーを考慮して完全個室としているクリニックもあります。

(2)検査

口臭測定器など専用の機械を使った検査で原因を調べていきます。むし歯や歯周病がないかを診るために口のレントゲン写真を撮ることもあります。

(3)診断

検査の結果から原因を究明し、医師、歯科医師が解説します。

(4)治療

口臭の原因が口臭外来での治療の領域内であれば、治療が行われます。その場で治療が行われることもあれば、次回以降の治療の方針を決めることもあります。

口臭外来での検査

口臭外来で行われる検査の一例を紹介します。クリニックにより検査内容が異なることもあります。

■口臭測定器での検査

息の中に含まれる硫黄化合物の数値を測り、口臭の度合いを客観的に確認する検査です。

■唾液検査

唾液を採取して顕微鏡で確認し、唾液の中の細菌の量や細菌の種類を確認する検査です。

■歯周病検査

むし歯があるか、歯と歯茎の間の溝はどれくらいの深さか、などを診ていきます。

口臭外来での治療

口臭外来での治療の一例を紹介します。口臭の原因や状態によって治療内容は異なります。

■舌苔の除去

舌ブラシなどを使って、口臭の原因となる舌苔を除去していきます。舌苔の多くは舌の後方にできるので、後方から前方に向かって掻き出すようにして除去します。

■歯周病治療

歯石や歯垢を除去したり、また、それらの付着の原因となるタバコのヤニなども除去したりして歯周病が進行しないようにします。そのほか、正しいブラッシングの指導なども行われます。

■生活指導

患者が記入した生活調査票を見ながら、口臭の原因となりやすい食生活や生活習慣を指摘し、その指導が行われます。

[6]口臭対策しても臭うなら一度受診を

口臭は、誰もが起こる生理的現象と言えるものから、生活習慣により発生するもの、病気が原因となっているものなどさまざまあります。一時的なものであれば、丁寧に歯磨きをしたり食べ物に気を遣ったりすることで改善できますが、それでも口臭がひどいときは治療が必要なことも。改善されない口臭がストレスとなって、さらに口臭が悪化する…という悪循環にもなりかねません。自分でできる対策をやってみて、それでも改善されないときは一度専門医を受診してみるのもおすすめです。

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