最古のスパイス「カルダモン」って?知っておきたい効果・効能とその使い方

エスニック料理のスパイスとしてもお馴染みのカルダモン。ピリッとした爽やかな香りで、スパイシーな料理には欠かせませんよね。実はカルダモンには健康に役立つうれしい効果や効能がたくさんあるんです。今回はカルダモンについて、歴史やその効果・効能などをご紹介します。

2019年02月15日更新

アロマ

服部 仁実 (アロマセラピスト)

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[1]世界で最も古いスパイス・カルダモン

カルダモンはカレーやチャイなどのインド料理に必ずと言ってもいいほど登場しますが、実は北欧でも人気が高く、3000年以上の歴史がある世界で最も古いスパイスの1つです。

カルダモンとは

カルダモンとは、ショウガ科に属する多年草の植物です。花言葉は「隠れた美点」「燃える思い」です。原産はインド南部マラバル地方で、南インドやスリランカ、マレー半島、グアテマラなどの熱帯各地で栽培され、主に種子部分をスパイスとして利用します。

■植物としての姿

カルダモンの草姿はミョウガやショウガに似ていて、草丈は2~3mにもなります。地下茎から短い花茎を出し、特徴的な赤や紫の筋が入った花をたくさん咲かせ、淡い緑色の楕円形の果実を付けます。

カルダモンは実をつけるまで4年以上かかるといわれ、栽培も収穫も手間がかかって難しいことから、サフランやバニラと同等に高価で貴重なスパイスとしても知られています。

■スパイスになるには

花が終わって実が付くとまだ青いうちに収穫し、表皮に皺が入るまで乾燥させてからスパイスとして使います。カルダモンには大きく分けて2種類あります。グリーンカルダモンとブラックカルダモンで、これらは、香りも味も見た目も異なる別種のカルダモンです。

日本に流通しているほとんどがグリーンカルダモンです。また、グリーンカルダモンを二酸化硫黄で漂白したものはホワイトカルダモンと呼ばれ、見た目はこちらの方が良いとされることもあります。

■名前の由来

日本でのカルダモンの読みは、英語の「cardamon(カーダモン)」の日本語読みで、これは学名でもあるラテン語の「Elettaria cardamomum(エレッタリア カルダモムム)」に由来しています。

また、一説ではヒンドゥー語で「cardia(カルディア=心臓)」の形をした「amoumum(アモーマム=生薬)」という所から名付けられたと言われています。

カルダモンの和名は「小荳蒄(ショウズク)」といい、健胃効果がある漢方の「白豆蒄(ビャクズク=カルダモンと同じショウガ科の仲間で強い香りを持つ)」の代用品として日本に伝わりました。

香りと特徴

カルダモンはユーカリ油と樟脳、レモン油の入り混じったようなスパイシーで清涼感のある爽やかな香りが高く評価され、「スパイスの女王」の別名を持ちます。また、種子に平均5%の精油を含んでいて「香りの王様」とも呼ばれています。

カルダモンの香りの主な成分とその働き

■1.8-シネオール

カルダモンに最も多く含まれています。主な働きに抗炎症作用、咳や痰を鎮める去痰作用、抗ウイルス作用、免疫調整作用があることから、風邪やインフルエンザ、花粉症の改善など、呼吸器系のトラブルに役立つといわれています。

■酢酸テルピニル

カルダモンの香り成分の約3割を占めている香り成分です。消化器系への働きかけに優れており、食欲増進、消化不良の解消、胃の痙攣を抑える効果があります。

■酢酸リナリル

交感神経の興奮を鎮めるなど、高い鎮静効果のある香り成分で、心身のバランスを整える働きをします。心の安定を支える神経伝達物質のセロトニン放出を調整したり、中枢神経鎮静、抗うつ作用もあり、ストレスを和らげて眠りやすくするなど、入眠の悩みに効果を発揮します。

■α-テルピネオール

主な働きに、抗炎症、抗アレルギー作用、喘息作用、鎮咳作用、収れん作用、胆汁分泌促進作用、催眠作用などがあります。呼吸器系の疾患や喘息、鼻炎などに有効で、高い抗菌・抗真菌作用があると言われる香り成分です。皮膚や粘膜に穏やかに作用し、風邪や鼻詰まりの解消に効果的です。

■リナロール

心を穏やかにさせる鎮静作用に優れた香り成分で、抗不安作用、血圧降下作用もあり、気分を落ち着けたり不安を和らげたいときなどに役立ちます。また、抗ウイルス作用、抗菌作用といった働きもします。

世界を巡るエピソード

カルダモンの歴史は古く、インドでは紀元前1000年以上の昔から伝統医学・アーユルヴェーダで生薬やスパイスとして利用されてきた、世界でも最も古いスパイスの1つです。

今でも伝わる歴史あるエピソードをご紹介します。

■権力者のために栽培される

インドでは3000年以上も前から生薬やスパイスとして使われていましたが、上流階級の人々には特に、消化吸収の助けになり、肥満を予防する薬として愛用されていました。

また、紀元前8世紀頃の中東の古代大国バビロニアでは、歴史に名高いバビロンの吊り庭でカルダモンが栽培されていました。

バビロニア国内では解毒作用に注目して研究を深めていたそうで、毒殺の危険に晒されていた権力者達に解毒剤として処方されていましたが、逆に常用しすぎて毒への耐性が付いてしまい、服毒自殺を試みた権力者が即死できずに苦しみもがいたという逸話も残っています。

■ローマ帝国や古代エジプトで愛用される

ローマ帝国時代の美食家達の間では、カルダモンシードは食べ過ぎたときの胃薬として愛用されていました。

また、古代エジプトでは薬用としてだけでなくミイラ作りに欠かせない香料としてペッパー同様に大量に使用されており、「聖なる香煙」として祈祷の際にも使用されていました。

■北欧で人気のスパイス

ノルウェーではバイキング達が戦利品として持ち帰ったことから広まり、現在でも数々の料理のほか、菓子パンやお菓子に多用されています。クリスマスのシーズンになると国中にカルダモンの香りがたちこめるそうです。

スウェーデンでは国民一人当たりのカルダモンの消費量がアメリカの50倍以上もあるといわれています。悪酔いを防ぐ生薬として愛用され、カルダモンを噛みながらお酒を飲む習慣があるそうです。

[2]健康に役立つ7つの効果・効能

お腹の調子を整える

カルダモンは唾液や胃液の分泌を促すことで消化も促進するため、食欲不振や消化不良・胃の痙攣や、お腹のガスによるハリや痛みを抑える働きをし、胃腸トラブルの改善に役立ちます。

更に、気持ちを落ち着かせる働きの成分も含まれているため、胃痛や吐き気・腹痛・過敏性腸症候群などのストレス性の胃腸トラブルの改善にも有効です。

胃腸トラブルが気になるときには、同じ消化器系トラブルに効果があるフェンネルやブラックペッパーやバジルとブレンドして利用することが多く、ストレス性の胃腸トラブルには、抗ストレス作用のあるシナモンと組み合わせても効果が期待できます。

疲労を回復する

カルダモンにはストレスなどによって高ぶった交感神経に作用して脳の緊張をほぐしリラックスさせてくれる効果があります。

精神を落ち着かせて不安を鎮める働きがあることから、特に精神面の疲労回復に効果を発揮しています。また、利尿作用があり、むくみによる体のだるさや倦怠感の解消にも効果があります。

体温を調節する

アラブ諸国などの暑い地域では、暑い日に体の熱をとるためのスパイスとして、逆に北欧など寒い地域では体を温めて血行を促進させるスパイスとして使われているカルダモン。

まるで正反対とも思えるその効果の元は、実はどちらも発汗を促す作用によるものだといわれています。発汗すると、汗が蒸発するときに気化熱を奪って体温を下げる働きをし、寒いときには血行を促進してくれるので体が温まります。

同じ発汗作用でも、その環境によって違う結果になって現れ、しかもそれが体温調節という同様の点で健康に役立っているというのは面白いですよね。

口臭を予防する

カルダモンそのものが強い香りを持っていて、種を噛み砕くことで口の中にカルダモンの香りが広がり強力な臭い消しとなるため、インドでは口臭予防として使用されており、香りの強い食事やお酒を飲む前後にカルダモンの種を噛む習慣があるそうです。

特に1,8-シネオールという香り成分に抗菌作用があり、口臭だけでなく汗や体臭まで抑えてくれるデオドラント効果が期待できます。

脂肪燃焼を促進

食後にカルダモンの種を噛むことで血の巡りを良くし、消化と脂肪燃焼を促進します。また、利尿作用もあるので、むくみが気になる人にも効果的です。

飲み物にカルダモンを加えても効果的なので、ダイエットの補助食材として毎日の食卓に取り入れてみましょう。

集中力の強化

疲労やストレスによって思考能力が鈍くなってしまったとき、目の前が明るく開かれたような感じがします。血液循環もよくなることで、脳を刺激し、活性化、心を鼓舞する働きが期待できます。記憶力や集中力、意欲を増して、物事に積極的に取り組む元気が出てきます。

呼吸器官の改善

鼻詰まりや喉の炎症、咳や痰といった風邪や花粉症の症状には、カルダモンのアロマオイルなどで香りを取り入れてみると良いでしょう。

また、食前食後にカルダモンコーヒーやカルダモンティーを飲んで体を温めることで、肺の血流も改善され喘息など重篤な呼吸器のトラブルも緩和できます。

カルダモンの適正摂取量は特に定められていませんが、バランスを考え、適度な摂取を心がけましょう。

[3]カルダモンの3つの形状と使い方

市販されているカルダモンは、その形状から大きくホール、パウダー、精油(オイル)の3つに分けられます。

カルダモンホール


楕円状の鞘の中に種子が入ったままの状態をカルダモンホールと呼びます。カルダモンホールのままだと香りが出にくいので、鞘に傷をつけたり切れ目を入れて使用するのがポイントです。

使い方は様々ですが、カレーのスパイスとして鞘ごと使用したり、少し砕いたものを飲み物に入れたり、ケーキやパンの生地に練り込んだりします。

カルダモンパウダー

カルダモンホールそのものを鞘ごと砕いて粉状にしたものがカルダモンパウダーです。中の種子は黒や茶色がかった色をしていますが、ホール全体を粉状にするため、パウダーの色は灰白色になります。

コーヒーやヨーグルトの風味付けに降りかけたり、魚や肉料理にも合います。また、砂糖と混ぜ合わせてカルダモンシュガーにすると、お菓子作りなど様々な場面で活用できて便利です。

カルダモンの精油(エッセンシャルオイル)


カルダモンの種子には5%の精油が含まれていて、完熟する前の種子だけを取り除き乾燥させた後、水蒸気蒸留法で抽出します。エッセンシャルオイルはアロマバスに用いたり、やキャリアオイルとブレンドしてマッサージしたりするのがおすすめです。

とても強い香りがあるため、香り成分による効果・効能が得られやすく、カルダモンの精油には内面の強さを必要としている時や、心と身体を温めたいときに、肉体的にも精神的にも強くなりたいときにオススメの香りです。

色々な場所で活躍するカルダモン

■香水の原料として

カルダモンの歴史は古く、その精油は香水作りに欠かせないものとして、数千年も前から重要な役割を果たしてきました。現在でも、様々なメーカーからカルダモンを使用した香水がたくさん作られ、市販されています。

■コーヒーに

中東ではカルダモンは歓迎のシンボルとされ、お客をカルダモンコーヒーでもてなす習慣があります。日本でカルダモンコーヒーを入れるときは、コーヒー豆にカルダモンホールの鞘を入れて風味付けしますが、中東ではポットの口にカルダモンの種を詰めて注ぐことで風味付けをしています。

■代用はできる?

カルダモンを切らしてしまったとき、代用になるものはあるのでしょうか?他のスパイスと比べると同じ容量でも値段が倍近くする場合があるので、もし代わりに使えるものがあれば気になりますよね。

カルダモンは独特な香りを持っているので、厳密には代わりはありませんが、逆にカルダモンをシナモンの代わりとしてパンや焼き菓子に使うことがあるため、どうしてもという場合にはシナモンを使う方法があります。

成分で考えてみるとナツメグが近いように見えますが、味は全く変わってしまうため、カルダモンの代用にナツメグを使うのは向かないようです。

[4]カルダモンの香水?!「ジョーマローン ミモザ&カルダモン」


スパイスなど食用として使われることの多いカルダモンで。そんなカルダモンが、香料として使われている香水があるんです。
それが、「ジョーマローン ミモザ&カルダモン」。
トップはミモザの甘くてパウダリーなお花の香りが広がります。その後、カルダモンのスパイシーな香りが奥からスーッときます。
フローラル系がベースで香りが作られていますが、カルダモンの香りのおかげで全体的に上品にまとまってます。
ぜひ、一度試してみてはいかがでしょうか?

[5]カルダモンで健康な毎日を

今回はカルダモンの成分や効果・効能、使い方などをご紹介しました。香りが強く個性的なので好き嫌いが分かれると思いますが、食事やアロマなど毎日の生活の一部に取り入れて、健康づくりやお悩みの改善に役立てて頂きたいと思います。


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