ネロリの効果・効能とは?奥深いネロリの香りの使い方やおすすめブレンド

アロマグッズや化粧品などに使われているネロリは、爽やかなフローラル系の香りで、性別や世代を問わず人気です。たくさんの製品に使用されていますが、実はネロリの花はとても貴重です。今回はネロリの香りの特徴や、効果などの魅力についてご紹介します。

ネロリの効果・効能とは?奥深いネロリの香りの使い方やおすすめブレンド

2019年09月19日更新

アロマ

小林 香代子 (アロマセラピスト)

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[1]ネロリとは?

化粧品やルームフレグランスなど様々なものに含まれる「ネロリ」とは、一体どんなものなのでしょうか。

植物としてのネロリ

ネロリとは、ミカン科ミカン属の常緑樹であるビターオレンジの花から抽出される精油を指します。

ビターオレンジの学名はCitrus aurantium(キトルス アウランティウム)、和名は橙(だいだい)です。

お正月の鏡餅に乗った姿などで馴染みのある方も多いのではないでしょうか。酸味が強いため、ヨーロッパではサワーオレンジとも呼ばれています。

インドやヒマラヤが原産地で、日本には中国から伝わり、国内では静岡や愛媛、和歌山が主産地となっています。

高さ5m程まで成長し、直径約2.5cmの白くて肉厚な花弁を持った花をつけます。庭木として育てられることも多く、栽培の手間はあまりかかりませんが、鋭いトゲを持っているので扱いには注意が必要です。

花を咲かせるまでには4年程かかり、開花時期は5日程と大変短いため、花を採取する目的では栽培に時間がかかる貴重な花といわれています。

精油としてのネロリ

原材料のビターオレンジの花を水蒸気蒸留して抽出した精油だけを「ネロリ」と呼びます。

花を溶剤で溶かして抽出した香料は「オレンジフラワーアブソリュート」と呼んで区別しています。

1kgの花から僅か1gしか精油が抽出できない上、栽培に時間がかかるため、ローズやジャスミンと並んで希少な精油の一つと言われています。

ビターオレンジ以外の柑橘類から抽出した精油も「ネロリ」と呼ぶことがあるため、その場合はビターオレンジから採取していることを強調するために「ネロリ・ビガラード」と呼びます。(ビガラードは、フランス語でビターオレンジの意味です。)

ネロリは柑橘類の精油ですが、花から抽出されているため、同じ柑橘類の果皮から抽出された精油よりもマイルドで、どんな肌のタイプにも合いやすいと言われています。

ネロリの歴史や名前の由来とエピソード

ネロリの歴史は古く、地中海周辺の北アフリカ諸国(特にチュニジアやモロッコ)では、古くから各家庭でビターオレンジの花を蒸留する習慣があったようです。

蒸留水に自然に溶け込んだネロリ成分には、爽やかな香りに加えて、抗酸化作用・抗菌作用があるため、蒸留水を化粧水として用いたり、傷薬や胃薬として利用したり、また料理やお菓子の香りづけなどに幅広く利用されてきました。

ネロリの効果・効能とは?奥深いネロリの香りの使い方やおすすめブレンド

中国では12世紀から水蒸気蒸留法による精油の抽出が行われ、入浴剤として利用されていたそうです。

ネロリという名前は、17世紀のイタリアのネロラ公国のアンナ・マリア王妃がネロリを愛用していたことからその名が付いたと言われています。

当時、貴族の間では革の手袋が流行していましたが、同時に革の臭いを隠すために様々な精油を利用することも流行していました。

社交界の花形であったアンナ・マリア王妃はビターオレンジの花の精油を愛用したため、次第にそれは「ネロリの手袋」と呼ばれるようになり、それが転じて、ビターオレンジの花の精油をネロリと呼ぶようになったと言われています。

ネロリと社交界の関係は深く、19世紀後半のイギリス・ビクトリア王朝期では、きつく締め上げたコルセットで気分を悪くした女性達が気付け薬として利用していたそうです。

故ダイアナ妃もネロリを洗顔に用いるなど愛用していたことで知られています。

■日本で親しまれている「ダイダイ」

ビターオレンジは日本で「ダイダイ」と呼ばれて親しまれています。ダイダイの実は冬の間はオレンジ色に色付き、春になると緑色に戻ります。

2~3年も枝に付いたまま自然落下しないので、その姿が「代々続く」めでたいものと見なされて「ダイダイ」という名が付きました。

お正月に鏡餅にダイダイを乗せて飾るのは、幸せが代々続くという意味を込めた風習です。

最近では本物のダイダイを鏡餅に用いる機会が減っているため、ポン酢の酢や、レモン汁の代わりに使うことが増えています。

ネロリの仲間

ネロリはビターオレンジの花から抽出した精油ですが、他にもオレンジから採取される精油があります。

抽出される部分によって香りや効果もそれぞれ異なるので、ぜひこちらもチェックしてみてくださいね。

■プチグレン

ビターオレンジの枝や葉から採取される精油が「プチグレン」です。葉に触れた時に感じる青っぽさに加え、少しネロリを思わせる香りがあります。

抗炎症作用とデオドラント効果が期待でき、気分転換やリフレッシュしたい時に向いています。

■ビターオレンジ

ビターオレンジの果実から採取される精油が「ビターオレンジ」です。まさにオレンジの皮を剥いた時を思わせる、フレッシュな果実の甘味と苦味を感じる香りです。

血流を促進する作用と柑橘系特有の気持ちをリラックスさせる効果が期待できるので、冷え性や妊娠中のマイナートラブルの緩和に活躍してくれます。

■ネロリウォーター

精油を抽出する時に、蒸留する課程で副産物として大量に産出される「ネロリウォーター(オレンジフラワーウォーター)」は、微量に精油を含んでいるので、低刺激でほのかな香りが楽しめます。

ネロリウォーターには保湿効果や収れん効果があり、脂性肌やお肌の引き締めを目的としたスキンケアにぴったりです。

そのままで化粧水や寝癖直しにも使えますし、アイロンをかける時の当て水やルームフレグランスなど多用途に用いられます。

大量に産出されるものなので、精油と違って安価に手に入るのが嬉しい特徴です。

[2]ネロリの成分と効果・効能

ネロリの香りや含まれる成分の特徴、その効果や効能についてご紹介します。

香りの特徴

ネロリの香りは、甘さの中にやや苦味を感じる、フローラルで優雅な印象です。原料がビターオレンジの花ということもあり、柑橘系の爽やかさも感じられます。

中程度の強さの濃厚なフローラル系の香りを持っていることから、香水の原料としても用いられています。

ネロリの主要成分

ネロリには下記のような成分が含まれています。

・リナロール

ラベンダーやベルガモットなどにも含まれる芳香成分。抗菌作用、鎮静作用を持つ。

・ネロール

バラに含まれる香気成分。皮膚弾力回復作用を持つ。

・シトロネラール

ユーカリ・シトリオドラ(レモンユーカリ)に含まれる成分。殺菌作用、鎮痛作用を持つ。

・酢酸リナリル

ラベンダーに主に含まれる成分。鎮痛作用、鎮静作用を持つ。

・ネリルアセテート

レモンバームやプチグレンにも含まれている成分。鎮静作用、鎮痛作用を持つ。

・ゲラニルアセテート

バラにも含まれるシトラス系のフルーティな香り成分。抗炎症作用を持つ。

・d-リモネン

レモンなどの柑橘系果皮に含まれる成分。洗浄力、抗菌作用を持つ。

・α-ピネン

松脂やヒノキの香りと同じ成分。リラックス効果や食欲増進効果がある。

・β-ピネン

ローズマリーやレモンなどに含まれる香り成分。抗菌作用、抗炎症作用などがある。

・α-テルピネン

レモンの香り成分。抗酸化作用がある。

・γ-テルピネン

森林の香り。抗菌、抗炎症作用がある。

ネロリの香りに奥深い味わいを感じられるのは、これらの多様な成分を含んでいるためです。

上記の他にも、ビタミンCの1種である2-エチルフランや防腐効果のあるカンフェンなども含み、ネロリの成分は50種類以上と多岐に渡っているため、沈痛・沈静作用やリラックス作用、食欲増進、抗炎症作用、抗酸化作用など、幅広い効果・効能が期待できます。

ネロリの効果と効能

ネロリの効果や効能は、大きく“心”“身体”“肌”それぞれへの効果に分けられます。

■心・メンタル面への効果

ネロリは「天然の精神安定剤」といわれているほど、心に強く働きかける香りで、特にリラックス効果に優れています。

ネロリの優しい香りがストレスなどで落ち込んだ感情を包み込んで気持ちを明るく前向きにし、不安やうつ状態を和らげて心を安定させてくれます。

ネロリの効果・効能とは?奥深いネロリの香りの使い方やおすすめブレンド

神経系の様々な症状に有効で、ネロリに含まれる「酢酸リナリル」という成分には交感神経系の興奮を鎮める作用があることから、自律神経の乱れからくる不眠症や動悸などの精神的な不調の改善にも役立つと考えられています。

ネロリは子供にも使える安全性の高い精油なので、寝付きの悪いお子さんのケアや、受験や学業などのストレスのケアとしても活用できます。

大体どの精油からでもアロマによるリラックス効果は得られますが、ネロリが持つリラックス効果はその中でもトップクラスと言って良いほどです。

逆に、緊張感が求められる車の運転や精密機器の操作中には不向きですので、使用には注意が必要です。

■身体・健康面への効果

ネロリは北アフリカでは昔から家庭の胃腸薬としても使われてきました。

ネロリに含まれているリナロールや酢酸リナリルなどの成分は、交感神経系を鎮静させて自律神経のバランスを整える働きが期待されていて、神経・精神面に起因する不調全般を軽減するのに役立つと考えられています。

ネロリの効果・効能とは?奥深いネロリの香りの使い方やおすすめブレンド

特に酢酸リナリルは神経の興奮を鎮める作用があることから、神経痛を和らげ、心臓の動悸を沈め、頭痛やめまいの治療にも有効と言われています。

神経系全般を調整し、腸に対しての鎮静作用もあるので、ストレス性の便秘や下痢、胃腸の働きの不調を和らげ、消化不良や腹痛、胃痙攣などにも作用します。

また、リモネンには血行を促進させて消化機能を整える働きがあるので、食欲を増進したり消化機能をサポートする効果があると考えられています。

■肌・美容面への効果

ネロリは肌への刺激が少なく、保湿効果もあるため、敏感肌や乾燥肌などのどんな肌タイプにも使うことができ、トラブルの改善に役立ちます。

皮膚の新陳代謝を促して細胞の生まれ変わりを助け、肌の弾力性を取り戻し、シミやシワ、たるみも予防できるので、アンチエイジング効果が期待できます。

ネロリの効果・効能とは?奥深いネロリの香りの使い方やおすすめブレンド

肌のターンオーバーを正常化させたい時にも効果的です。また、毛細血管の破れや傷跡などを修復する働きがあり、肌を柔らかくする効果もあるため、妊娠線の予防やケアにも最適ですよ。

キャリアオイルで希釈して、使用する前にパッチテストをしてから、お肌のケアに役立ててくださいね。

女性に嬉しいネロリの効果

ネロリに含まれる「ネロリドール」という成分には、女性ホルモンと似た働きがあると言われ、女性ホルモンのバランスを整える働きがあります。

生理不順や重い生理痛、月経前症候群(PMS)や更年期障害による身体の辛い症状にも効果があり、血行促進作用もあるため、女性に多い冷えやむくみといった血行不良による悩みにも効果的です。

イライラや気分の落ち込み、涙もろくなるなどといった心の症状を和らげる効果もあるので、女性特有の精神的な不安定さの改善に役立ちます。

また、ネロリを使ってバストマッサージをすると、ネロリドールの働きでバストアップの効果が得られるとも言われ、より女性らしいボディラインを手に入れるために役立ちますよ。

ネロリには催淫作用があると言われていますが、これはイランイランやジャスミンなどのような男女生殖器の強壮作用ではなく、不安やストレスを鎮める作用によって自分に自身を持ち、精神面からくる性的障害の解消に効果的という理由からそう言われているようです。

性的な興奮を促す、いわゆるモテる香りとは違うので、自分に自身をつける香りとしてご活用ください。

ネロリは甘すぎないフローラル系で、上品さを感じる使いやすい香りですが、香りが強いので、大量に使い過ぎると吐き気や頭痛を起こすことがあります。

また、鎮静効果が強いため、使用中に頭がぼんやりするように感じることがあるので、使い過ぎにはくれぐれも注意してくださいね。

[3]ネロリの効果的な使い方

ネロリの香りを生活に取り入れる上で、より効果的に使うにはどんな方法が良いのでしょうか?

相性の良い効果的な組み合わせ

ネロリは温かみのある、柑橘系の爽やかで上品な香りなので、どんな香りとも組み合わせられますが、特にフローラル系や柑橘系の香りとの相性が良いと言われています。

ネロリの成分の特性を更に効果的に発揮できる組み合わせをこちらにご紹介します。

<欝っぽい時におすすめのブレンド>ジャスミン・ライム・ベルガモット

陶酔感をもたらす濃密な香りのジャスミンは、脳内の神経伝達物質であるエンファリンやドーパミンの分泌を促す作用があり、幸福感を高めると言われています。

ライムはその成分のおよそ半分がリモネンで占められていて、鎮静作用によるリラックス効果が期待でき、精神的な疲労やストレス症状の軽減に役立ってくれます。

ベルガモットはリモネンと酢酸リナリル・リナロールの含有率が高く、この3成分が複合して働くことで神経の興奮を鎮め、ストレスや苛立ちを和らげ、気持ちを落ち着かせると言われています。

<PMSの改善におすすめのブレンド>イランイラン・ローズ・ゼラニウム

イランイランにはホルモンバランスを整える働きがあり、生理痛や月経不順などの女性ホルモンの乱れによるトラブルを軽減する効果が期待されています。

ローズにもホルモンバランスを調整したり子宮の強壮作用があり、女性の生殖器系の不調全般に有効とされています。

ゼラニウムに女性ホルモン様(エストロゲン様)作用をもつ成分は含まれていませんが、自律神経のバランスを整える働きがあり、間接的に女性ホルモンのバランスを整える効果があると考えられています。

<美肌対策におすすめのブレンド>サンダルウッド・ヘリクリサム・ベンゾイン

サンダルウッドは保湿剤として使用できるほど保湿効果が高く、肌を柔らかい状態にし、皺を防ぐ作用もあるのでエイジングケアにも有効です。

抗炎症作用や殺菌・抗真菌作用があるヘリクリサムは、刺激が少ないので敏感肌の方でも使用でき、ニキビケアや水虫・カンジダなどの真菌性皮膚炎の予防・改善に有効とされ、アレルギー性の皮膚炎症に対しても改善が期待できます。

かつてバレリーナがフットケアに使用していたと言われているベンゾインは、保湿効果や皮膚軟化作用があり、ひび割れやあかぎれ、しもやけ(凍瘡)や切り傷などのケアに有効で、抗炎症作用があることからニキビや皮膚の炎症や痒みの緩和などにも効果的と言われています。

<安眠対策におすすめのブレンド>オレンジ・ラベンダー・コリアンダー

「ハッピーな香り」と言われるオレンジスイートは、リラックス効果の高いリモネンを多く含み、気分を明るく前向きにしてくれる精油で、リフレッシュ効果も高いと考えられています。

気持ちを安定させリラックスさせる働きがあるラベンダーは、神経系の興奮を鎮めることでストレスや神経過敏といったトラブルを緩和し、神経疲労や不安を癒やす効果も期待されています。

刺激的な香りのコリアンダーは、その半分以上を占める主成分が鎮静作用のあるリナロールであるため、インドでは安眠促進のためのスパイスとして用いられているとも言われています。

様々な香りと組み合わせることで、ネロリの持つ特性をより効果的に引き出すことが出来ます。

ネロリは強い香りを持っているので、他の精油とブレンドする際は少量ずつ混ぜると失敗が少なく、好みの香りと強さを調節しやすくなります。

お悩みに合わせて、お好みのアロマと組み合わせてみてくださいね。

[4]暮らしにネロリを取り入れよう

ネロリは上品で爽やかな香りの魅力だけではなく、女性に嬉しい効果や効能を豊富に秘めています。希少で高価な精油なので、個人ではあまり気軽に使えませんが、ネロリを使ったオーガニックコスメやスキンケアアイテムは数多く市販されています。

また、手軽に購入しやすいネロリウォーターにも精油と同様の成分が入っているため、同じ効果や効能を期待できますよ。

是非生活の中にネロリの香りを取り入れて、ストレスから来る身体の不調や不安を解きほぐし、心穏やかな毎日をお過ごしくださいね。


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